HandbrakeにおいてTSファイルのアニメをエンコードする際の注意点や個人的見解について語ります。下のリンクでも結構色々書いていたりするので読んでおくことをおすすめします。

目次
現在の主流
素人でも動画を編集出来るようになってからは色々な圧縮方式が登場しました。
あくまで主観ですが
Divx→H.264→H.265
最近の移り変わりとしてはこんなものだと思います。
しばらくはH.264が主流でしたが最近はH.265へとシフトしています。しかしエンコーダーの進化や再生側の対応が追いついてないのが現状です。
H.264(x264)
メリット
登場してから結構な時間も経っていますし比較的色々なハードで再生出来るのがポイントです。家電からゲーム機まで幅広く対応しています。
2017年10月現在のCPUだと1時間の映像を1時間以下でエンコードすることは容易です。また、デコードの負荷が非常に軽いので小型のデバイスでも簡単に再生出来ます。
デメリット
しかし後述のH.265と比較してファイルサイズが大きく、ビットレートをある程度まで落とすとすぐに画質の劣化に気づいてしまいます。
広く普及している圧縮方式ですが、H.264対応のデバイスでもプロファイル(解像度やビットレート)の上限が非常にシビアな場合があります。そもそも、製品のマニュアルにH.264対応としか書いておらずどの程度のプロファイル(解像度、ビットレート)までが上限なのかが分からないということも珍しくはないです。
H.265(x265)
H.265はH.264と真逆のメリット・デメリットがあります。
登場してからある程度の時間は経っていますがエンコーダーが実用的になったのはつい最近のことです。加えて、H.265再生対応を謳ったハードはかなり少ないです。
圧縮時の設定にもよりますが再生負荷は非常に高く、3GHz近くのデュアルコアが最低のラインだと思います。Haswell Refresh世代のCeleronを使って再生してみたところ、所々描写が追いつかなくなるシーンがありました。
結構ビットレートを落としても画質に目立った破綻は起きませんが普段からエンコードをしている人からすると妥協出来ない部分が劣化していることがあります。それがH.265の強みであり弱みでもあります。また、エンコードの時間は非常に長いです。ファイルサイズはH.264に比べて1/2くらいになるのでHDDの容量の節約につながります。
再生ソフト
私の環境だとMPC-HCが一番再生負荷がまともです(負荷が低いとは言ってない)。
GPUに処理を任せるのも手ですが対応しているアーキテクチャやグラフィックボードは限られています。
おすすめのCPU
エンコードは基本的にコア数に比例して速度が向上するのでクアッドコアは必須です。
x264
圧倒的にRyzenです。6コアか8コアのRyzenあたりだと爆速です。
x265
これに関してはインテル・AMDどちらでも良さそうです。インテルのCPUはAVX2を搭載しているのでH.265へのエンコードに関しては結構効率が良くなります(熱や騒音とトレードオフ)。
x265を常用するのであれば最低ラインでCore i7 7700kが必要です。Ryzen 1700あたりが一番コスパが良さそうですがどちらのCPUもお値段高いです。
放置する前提でエンコード専用のPCならCore i5あたりでも問題ないです。というか私が使っているPCのCPUはSkylakeのCore i5です^^;
もうすぐ第8世代インテルCoreシリーズCPU(Coffee Lake)が日本でも発売されますがベンチマークを見る限りではi5も悪くなさそうな選択肢です。
ハードウェアエンコード(QSV)
QSVの使用は論外です。
私は基本的に動画をH.265で保存しています。電車での移動時間中に見る時には準備時間中にH.265からH.264にQSVでエンコードしています。
エンコード速度は非常に大事なのでそういうシチュエーションでは重宝しますが、ファイルサイズは増加して画質劣化が酷い状態です。ある程度の画質を確保する設定にするとMPEG2とあまり変わらないファイルサイズになります。そこまでするならx264でエンコードしても変わらないかなというのが結論です。あと、インターレース処理をしながらのエンコードだと速度は数分の1になります。
まあ保存用には適さないということですね。
詳しくはここに書いています。
動画のエンコードに時間がかかる3つの理由
解像度
ブルーレイディスクやAVCHDのDVDに書き込みたい人は
- 1920×1080
- 1440×1080
- 1280×720
このどれかの解像度で保存するのがベストだと思います。私の場合だとアニメはリサイズ無し、バラエティ番組やドラマは1280×720でエンコードしています。
尚、ブルーレイやAVCHDのDVDは解像度以外にも守る設定が沢山あるので注意して下さい。
規格内に収めてエンコードするのに必要なパラメーターを調整したことありますが、映像によっては何故か規格内に収まらなかったりして匙を投げました。
PS3は比較的フリーダムに色々な動画を再生することが出来ますがPS4はAVCHD DVDの規格で無ければ再生出来ないみたいです。ということで現在はTSファイルのままパナソニック製のブルーレイディスクに書き込むことにしています。
CMカット
出来るだけエンコードの時間を減らすにこしたことはないです。再生の時もメリットになります。
無料のソフトもありますが私は有料ソフトであるTMPGEnc MPEG Smart Renderer 5を使ってCMカットしています。動画を解析してCM検知してくれる機能を備えている非常に高度なソフトです。事前にCM解析の準備をしてくれる機能等もあるあので重宝しています。
フレームレートとインターレース処理
基本的にデジタル放送では29.97fpsのインターレースにて放送されています。液晶テレビ(プログレッシブ)で綺麗に見る為にはインターレースが処理が必要です。
VLCメディアプレーヤーやMPC-HC(設定少し変える必要があります)でコマ送りにすると判別しやすいです。5コマ中2回縞模様が出ていると23.976fps、全てに縞模様が出ていると59.97fpsです。
二重化(30fps→60fps)
ドラマやバラエティ番組は60fps制作です。二重化すると滑らかな映像にはなりますがテロップ等の文字の劣化が少し目立ちます。
逆テレシネ
アニメや映画は24fps制作です。
アニメを逆テレシネしても縞模様が残っている場合は多々あります。それはテロップ部分が24fpsで制作されていない場合です。また、本編以外のCMやオープニング・エンディングの映像が60fps等の場合も同様です。
その場合は可変フレームレートでエンコードするかDecombにて検知して処理するように設定して下さい。
判別する時の注意
前項にてアニメは24fpsと書きましたがプログレッシブとインターレースが混ざっている作品もあります。fpsもシーンによっては60fpsだったりします。あと一部のCMがプログレッシブというのは結構見かける気がします。
基本的にはアニメ=24fpsと覚えていて問題ありませんが逆テレシネだけで処理出来ないアニメが放送されることは珍しくないです。エンコードしたら再生してチェックすることをおすすめします。そのようなアニメを完璧に近づけてエンコードしたい人はAviUtlかAviSynthを使っているみたいです(編集の手間が増えます)。
インターレースについての説明をすると長くなるので一般的なレベルで抑えています。
高画質なcrfの値
H.264とH.265では画質の劣化の仕方が全然異なります。前者は実写系、後者はアニメが強いというのが私の感想です。
x264
最適な範囲:18〜24
高画質な映画だと18
アニメは22〜24
x265
最適な範囲:20~22、26〜28
私はどの映像も22に設定しています。
H.265の特徴として
- ファイルサイズが比較的小さめ
- ビットレートが低い時でもある程度の画質を維持出来る
エンコードで大切なのはどこまで妥協出来るかということです。上記の2つを念頭に設定を練ることで自分にとって最適なエンコード設定が見つかると思います。